薪窯ピザ庵 えん

地元で採れた旬の野菜を食べてもらいたい!という店主の思いが詰まった薪窯で焼き上げる絶品ピザ

美しい里山が残る神前地区。古材の梁や柱が白漆喰の壁に映える、落ち着いた和モダンな空間。

貴重な天然砥石「丹波青砥」の産地として知られている宮前町神前(こうざき)。
とこなげ山を源流とする豊かな水に支えられた農産物や広葉樹を中心とした里山の風情が残る地域です。


その神前地区に、地元の山で伐った広葉樹を薪に使った窯で焼き上げるピザが人気の「薪窯ピザ庵 えん」は2018年にオープンしました。


アプローチには色とりどりの草花やハーブが植えられています。
周囲の山々の美しい景観や澄み切った空気も相まって期待感が高まります。


黒光りした太い柱と白い漆喰の壁のコントラストが印象的な古民家風の店内。
吹き抜けの空間はとても明るく、ゆったりとした開放感があります。

ベルギー製の薪ストーブの炎が、店内を暖かく包み込む。


重厚感のある鋳物製の薪ストーブ。
里山の紅葉する時期から、春の若葉の季節まで薪の炎がお客様をお迎えします。

店内は土間のテーブル席以外に、2つの個室が用意されています。
手前は、あたたかい陽の光が差し込む無垢杉フローリングの部屋。

奥は畳敷きで床の間のある和室になっており、6〜8人の団体客にも対応可能。
空間と調和するように配置された器や小物を眺めているだけで心が和みます。


ご案内してくださったオーナーの人見さんご夫妻。
ご主人の修好さんは公務員として市役所に長く勤務されていたとのこと。
退職後は畑で野菜作りでもして、のんびり過ごすことを考えていたにもかかわらず、ピザ職人の道へ。一体なにがあったのでしょう。
オープンまでのいきさつをお伺いしました。

試行錯誤の末にたどり着いたのは、野菜が主役の『創作里山ピザ』。

古材がふんだんに使われた素敵な空間ですが、もともとお店だったのですか?

いえ、ここは自宅の離れとして建てたもので、解体した築150年の家の梁や建具を古材として使っています。最初は店をやるつもりはなくて、友人を呼んで薪ストーブで焼いたピザをふるまって楽しんでいたところ、そのピザが大変好評で。
「こんなに美味しいピザ作れるのだからお店をやった方がいい」そんなことを何度も言われるうちに、その気になってしまって…。

ピザ屋を開業するのは、趣味でやっていたのとは違って、それなりの覚悟が要るように思いますが。

そうです、全然違います。だから必死で研究を重ねました。薪で焼いているピザ屋を見つけては、食べて回りました。周辺にある薪窯ピザ屋さんは大体行ったんじゃないかな。退職後は本場のイタリアにも行きました。

本場のナポリピザはいかがでしたか?

実際に行ってみて分ったんですが、本場だからといって全部おいしいわけではないんですよね。こんなに塩辛いピザは日本人には合わないだろうなあ、と思ったこともあります…。もちろん美味しいピザもあるんですけどね。店によって結構まちまちです。

定番のマルゲリータ

レンコンを使った創作里山ピザ

研究を重ねた結果、たどり着いたのが今のピザなんですね!

そうですね。私はもともと野菜作りが趣味で、農薬を使わず有機栽培の野菜作りを続けていました。だから野菜を主体にしたピザにしようと。自家菜園で採れた美味しい野菜をたくさん食べてもらいたい、あくまで「主役は野菜」だという思いがありましたね。

自慢のピザにはどんな特色がありますか

うちで出しているピザには通年の「伝統的ナポリピザ」と季節によって変わる「創作里山ピザ」があります。
春はタケノコや菜の花、夏は万願寺とうがらし、賀茂なす、秋はさつまいも、カボチャ。冬はレンコンやシイタケなど、自家菜園で採れた旬の野菜を季節ごとに変えて選んでいます。

ベンガラ入りの漆喰で仕上げた赤い薪窯。炉内の温度を一定に保つには熟練の技が必要となる。

ピザを焼く薪窯についてもお聞きしたいのですが、これも自作ですか?

そうです。海外の動画などに窯の作り方を公開しているものがあって、そういうのを見て作りましたね。耐火煉瓦をドーム状に組んで、最後は地元の左官屋さんにも協力してもらって、漆喰で仕上げました。日本古来のベンガラを混ぜて赤い色にしています。ナポリピザの窯はタイル張りばかりで面白くないな、と思っていたのでオリジナルな出来映えに満足しています。

もう少し天井の高さを低くした方が炉内温度をキープできたかな、と改良したい所はあります。ただ、一度仕上げたら、やり直しはできませんからね。3年ほど試行錯誤しながら、この窯に合う焼き方を会得しました。

どういう所が難しいのでしょうか?

ピザを美味しく焼き上げるには、炉内の温度を450度に保たないといけないんですが、薪窯はガスと違って、薪の燃え方でどうしても焼きムラができてしまいます。ピザの生地をのばして具材を乗せているうちに、窯の火が消えかかっている、ということが最初の頃はありました。薪をくべるのですが、温度が上昇するまでに待たないといけない。薪を入れるタイミングが難しいんですね。

半年間しっかり乾燥させて使う薪。原木となるのは、地元の山に自生する広葉樹

燃料となる薪はどうやって調達しているのですか。

実家の山に入って、クヌギやナラなどの広葉樹を伐ったものを薪材として使っています。チェーンソーを担いで一人で山に入ってます(笑)。
降ろしてきた原木は割って半年くらい乾燥させてから使います。

店内では野菜販売もされていましたが、これも自家菜園のものですか?

そうですね、自家農園で採れた旬の野菜を並べています。おすすめはオリジナルの薬草茶ですね。どくだみをベースにヤーコン葉、びわの葉、柿の葉、桑の葉などをブレンドしています。子どものアトピーが改善されたということで、これだけを買いに来られるお客さんもいるくらいなんですよ。

えんの自家菜園で採れた新鮮野菜をふんだんに使ったサラダ。

今後の抱負をお聞かせください

ピザ以外にも旬の野菜を使ったサラダやスープ、薪窯グリルなどを提供していますが、お客様から野菜がおいしいと言ってもらえるのが何よりです。野菜を作り、ピザを焼いて多くの皆さんに喜んでもらえるのは幸せですね。体が元気なうちは今のペースで仕事を続けたいと思っています。

保育士だった奥様が選んだ可愛らしい木のおもちゃが店内に飾られている。

地元で採れた旬の野菜を食べてもらいたい!という店主の思いが詰まった薪窯で焼き上げる絶品ピザ

薪窯ピザ庵 えん

住所:京都府亀岡市宮前町神前大道10-1

TEL:080-2540-1814
予約受付時間: 火曜~日曜 9:00 〜 17:00

営業時間:金曜~日曜 11:00 〜 15:30

定休日:月〜木

Web:「薪窯ピザ庵 えん」公式サイト