明智光秀にゆかりのある谷性寺門前の庭園で「ききょうの里」と「夢ナリエ」を開催しています。

丹波/亀岡 ききょうの里を作る会 太田桂子さん、小畑三香子さん、太田富美枝 さん

明智光秀にゆかりのある谷性寺門前の庭園で「ききょうの里」と「夢ナリエ」を開催しています。

亀岡市宮前町に「ききょうの里」はあります。夏は花園、冬はイルミネーションを彩る場作りをする丹波/亀岡 ききょうの里を作る会の太田桂子さん、小畑三香子さん、太田富美枝さん。広大すぎる土地をほぼ3人で手掛ける習熟したスキル、自然や動物と共存する困難、さまざまな出会いなどをお伺いしました。

地域の声から始まった夏と冬の、亀岡市の観光スポット

丹波かめおか光秀物語 ききょうの里とは?
紫や白、珍しいピンク、八重咲きといった様々な桔梗(ききょう)をメインに植えられている花園です。その他にも大輪の紫陽花、半夏生(はんげしょう)の群生、ルドベキアなど初夏の花々が元気に咲き誇っています。桔梗寺と言えば庭に咲いた数本の桔梗を縁側から眺めるところが多いですが、ここでは直近までカメラのレンズを寄せてアップで撮れるので、こだわって写真を撮られる方にも人気です。

京都丹波KAMEOKA 夢ナリエとは?
街灯もない場所のため、あたりは真っ暗。空気の澄んだこの地域は星もそうですが、イルミネーションも、より特別な輝きを放ちます。定番のサンタさんトナカイはもちろん、海やサボテンをテーマにした珍しいゾーン、平安女子大学とコラボレーションした作品、地域の方々にイラストの協力を募った絵行灯、竹が豊富な土地を活かした竹行灯、竹林のライトアップ。進むごとに変わる、さまざまな世界観は子供からご年配の方まで楽しめ、ゆったりと冬の夜を楽しめる充実した内容です。

ーききょうの里 / 夢ナリエが始まったきっかけと運営メンバー
ききょうの里が始まったのは、近くにある谷性寺(こくしょうじ)が大きく影響しています。谷性寺は、明智光秀の首塚があるお寺です。明智家の家紋である桔梗を、お寺の門前の休耕田を利用して、桔梗の花園を始めようと、谷性寺の檀家と明智光秀公顕彰会と亀岡ロータリークラブのメンバーの約60名で結成しました。

2005年6月にききょうの里は開園し、今年で21年目です。発足時はメンバーがたくさんいたものの、今となっては結成時の息子世代が実行委員となり、檀家合わせて20名ほどが協力しています。わたしたちは3人とも、京都市内出身で結婚して亀岡へ嫁に来ました。始めた頃は人手がたくさんありましたが、徐々にメンバーが減ってきたのでお手伝いするようになりました。園の管理は年に数回、実行委員、檀家の皆さんの協力を得ています。

ききょうの里は桔梗が咲く6月下旬から1ヶ月間しか開園していないので、冬は真っ暗だしイルミネーションをしたら綺麗なんちゃうかとわたしたちの意見で、まわりの合意を得て始めました。2013年から3年間はききょうの里灯りという名前で開園し、補助金制度を利用するため、2016年からは夢ナリエに変更し、運営を続けています。

地域や手作りの温かみがたっぷり感じられる場所

ー地域の方に協力いただいた作品をたくさん織り交ぜています
絵や書を公募したり、近くの保育園や小中学校に頼みに行き、子供に絵を書いてもらったものなどを、絵行灯にしています。提出してもらった絵は、一枚ずつラミネートし、行灯の両面にタッカーでとめます。

竹行灯は今まで作ってもらっていた電気屋の息子さんに教わり、わたしたちも作れるようになりました。竹に穴をあけること、完成時の美しさは達成感に繋がり、作る楽しさを感じました。インパクトをそれぞれ購入し、今では自分たちだけで作ることもできますし、講師としてお呼びがかかったこともあります。

青のたすき主催の竹灯りを作ろう!の会では、1年目は短い竹を使い、2年目は長い竹を使って参加者さんに作っていただきました。続けて参加された方の中にも、わたしたちと同じように竹に穴をあける楽しさにはまって、インパクトを購入されている方がいました。

作品は、実際に夢ナリエの会場に飾られます。3人だけで竹行灯を作るのはとても大変ですが、こういったワークショップを開催してもらえることで、参加者さんは作る楽しさ、飾られる喜びに繋がりますし、わたしたちも労力のいる作業を手伝ってもらえて助かっています。

地域のみなさんに参加していただくのは、竹という地域固有の資源に触れたり、集って同じ作業をすること、会場に飾られることなどで、町への愛着や繋がりを感じられる、地域起こしになったらという思いがあります。

ー平安女学院大学とのコラボレーションの始まりと、生まれる相乗効果
2022年に大きな補助金をいただいて、更なる庭の整備やお手洗いの改装、テラスのテーブルなどの購入にあてました。そのときの審査員のひとりが平安女学院大学の教授でした。

平安女学院大学の学生は、学校の入り口や、校外では左京区の叡山電車、綾部市などもイルミネーションの装飾を手掛けています。そんな学生と補助金の申請内容がわたしたちと同じだったんです。
教授が夢ナリエを見にこられて、意気投合し、2022年から平安女学院とコラボレーションが始まり、毎年続いています。

2025年は天使の羽や、桔梗の花を手掛けてくださいました。平安女学院は手作りでダイナミックな作品を作ります。バランスもよく、馴染んでいて、私たちの勉強にもなりますし、普段は学校の入り口という場所に制限される彼女らは、この広い土地で自由に表現できることが、お互いのメリットなのかなと思います。

ー開園中の食事やお野菜、雑貨の販売も、地域の繋がりがあってこそ生まれる
夏はざるそば、冷やしうどん、地元野菜の天ぷらを付けた定食、亀岡牛コロッケ、カキ氷、冬はきつねうどん、豚汁、たこやき、ポテト、甘酒、肉まんなどを召し上がっていただけるようにしています。
地元野菜の天ぷらは、販売してるお野菜と同じ、ご近所の農家さんのものを使っています。

雑貨などの販売は亀岡市内の作家さんや工房のものが多くあるので、地元のお土産になります。また、フリマ、バザーみたいなイメージのものもあります。お皿なんかは100円、10円、中には0円。イルミネーションを見に来て、あまりの寒さに0円コートを着て、帰った方もいらっしゃいました。

このお店自体を面白がって毎年きてくださる方もいるし、家やお店で使うのに大量に購入する方もいらっしゃって、繋がりある方の作ったものや使っていたものを、お客さんに受け渡していく、わたしたちも楽しく過ごせる場所となっています。

いつしか、動物にも喜ばれる場所に?!

ーペット連れのお客さまが多い
ペットを連れて入ることの出来る花園、イルミネーションなので、飼い主の方にすごく喜ばれます。そういった需要があると確信してからは、ポスターやホームページにもペットOKと記載したら、ペット連れがとても増えました。なぜなら、他ではペット禁止だったり、OKであってもペット料金がかかるところが多いからです。

同じ犬種ばかりのグループで来られたり、サンタさんのコスチュームを着た猫もいました。他にもウサギやミーアキャット、インコは鳥籠に入ったまま、園内を散歩されていたこともあります。飼い主さん共々楽しまれているように見えます。わたしたちは、動物が好きなので、ペット連れで来てもらえると嬉しいし、飼い主さんとお話ができることも楽しいです。毎年来てくださる方もいて、時には仲良くなれることもあります。

ー野の動物にも好かれてしまう
しかし、来客は癒される動物ばかりではありません。自然の中で運営するのは、野で暮らす生き物たちとも共存するということ。野生のもぐら、猪、鹿は困った被害をもたらします。もぐらは花壇の地下で掘り起こした土を押し上げて景観を乱したり花の根を切ってしまうし、猪は夜間に土中の餌を探し求めて土を掘り起こしたり、石で作った階段をひっくり返してしまったりします。

それから、鹿は、桔梗の新芽を食べてしまいます。草はたくさんあるのに、よりによって桔梗の新芽ばかり、、柔らかくて美味しいのでしょうね。新芽を食べられると脇芽が生えて花が増えるメリットもありますが、会期に合わせてせっかく植えた桔梗が、開始日に咲かないということもあります。昨年はあまりにも被害がひどかったので、亀岡市観光協会より鹿避けのネットをいただきました。設置を思うと大変ですが、しっかり対策をして、今年は無事に桔梗が開園期間に開花を迎えてくれることを願います。

開園と家業で毎年慌ただしい一年

ー自然を相手にした年間のスケジュール
ききょうの里の開園準備は早ければ3月から始まります。桔梗の植えかえ、たくさんの紫陽花やその他庭木の剪定、草刈り、草引きをします。5月は連休明けにそれぞれの家庭の田植えをしつつ、6月中旬に開園、7月中旬に閉園。8月に入ればお盆の時期なので、今度はお寺の行事が忙しくなり、中旬には花火大会の準備があります。

9月、10月はそれぞれの家庭の稲刈りもしつつ、夢ナリエに向けての準備が始まります。まずはイルミネーションの電飾を色ごとに仕分け、線が切れていないかのチェックと壊れているものの取り替え作業。ききょうの里のエリアや、前年の夢ナリエ以降使っていなかったエリアの草刈り、竹藪整備、竹きり。
11月の夢ナリエの開園を迎えてしまえば草や竹が伸びるペースは衰えるのでやっと力作業は落ち着いてきます。

クリスマスの閉園後は2日間で大きな装飾とイルミネーション片付け。すべてが片付くわけではありませんが、2日間でやめておかないと、わたしたちにお正月が来ないのでね。餅つきをして、親戚にもあげないといけないですし、玄関だけお飾りして、大掃除はお正月に入ってからです、とても忙しない。1、2月は会計作業があるものの、やっと落ち着いた生活ができます。

ほとんど3人で運営していますが、ありがたい助っ人もいます。お寺や檀家同志の繋がりは深い地域で、助け合って暮らしています。ききょうの里の開園準備や会期中の草刈りは、檀家さんに協力してもらっています。夢ナリエは知り合いの電気屋の息子さんにイルミネーションの設置や竹行灯作りをしてもらっていました。会期中の店番は、「いのくら農業者クラブ女性部」の方たちに調理を手伝ってもらっています。

ー野外ならではの過酷さ
桔梗の花が咲くのは、6月下旬から1ヶ月ほど。草がよく伸びる春頃からは、草刈りが欠かせません。暖かくなり雨が増えるに連れて、雑草の伸びるスピードは早まり、夏となれば一週間で元通りの草丈になってしまうこともあります。そして、桔梗の花が咲き終わったら、花殻摘みが待っています。だらだら汗をたらしながら、広大な土地を暑い中、整備することは体力的にしんどいです。

イルミネーションの準備は里山ならではの寒さもありますし、5mにも及ぶ巨大なクリスマスツリーの設置は足がすくんで怖がりながら行っています。竹行灯に使う竹は、特別な加工をしていないので、水分が多くカビたり割れやすいので、基本的にその年しか使えません。そのため、毎年竹林の竹を切って、トラックへ運び、電飾を通すために竹の中の節を鉄パイプを使ってぬく作業も自分たちでします。

ある程度太くないと、飾った時に見栄えがしないので、太いものを選びますが、太いと、その分とにかく重いんです。元々、竹行灯を作るのは、放置竹林をなんとかしたいと始まったことなので、理に叶ってはいるのですが、やっぱり力仕事なので、大変です。

報われる瞬間と今後の継続

ー続けていてよかったこと
地域の方にも喜んでいただけている実感がありますが、遠くから来られた方にも「わざわざ来た甲斐があった」「他のプロや業者さんが手掛けたイルミネーションよりも温かみと手作り感ある夢ナリエのほうが好みだった」と言ってくださると、頑張ってよかったと多います。

他にも「草の手入れ大変やねぇ」と労ってもらえたり、鹿に桔梗の新芽を食べられてしまって、花が咲いてないときには100円引きにしたら、「あんたらがわるいわけではないのに、良心的やなー」と理解し、励ましてくれました。

前年お腹が大きくて、次の年には生まれた子供を見せにきてくれたり、この場をプロポーズに選ばれる方もいらっしゃいました。親子孫の3世代で楽しんでくださる方も多いですし、小さな子はもう一度周りたい!と夢中になっている様子もよく見ます。街中に住んでいる方にとってはカエルすら珍しく、小さな生き物に喜ばれています。お客さんの言葉や行動が目に見えて直接聞けるからこそ、元気をもらい、準備中や会期中の整備も頑張ってよかったと肯定できるようになります。

ーいろんな意味でやめられない
ききょうの里は、わたしたちのやる気で始めたことではなく、当初の立ち上げメンバーがどんどん減って、いつしか3人でやらざるを得なくなってしまった状況から今に続きます。準備や継続することが本当に大変なので、実はだれかに引き継ぎたい気持ちです。始まるきっかけとしても、この地域のお寺と檀家が深く関係しており、継ぐにしても誰でもいいわけでもなく、、。

借りてる土地も檀家のものなので、市に寄付することも相談しましたが、借地は難しいということでした。借りてる土地なので返却するとなると、次に貸す人のために更地の状態に戻さないといけないんです。こんなに大掛かりな施設になってしまったので、更地にするのも巨額かかるのは予想されるます。今風に言うと、推し活に沼る訳じゃないけれど、これは抜けられない沼でやめるにやめられないんです。そんなこんなで最近は、意地のようにひたすら動いて3人で続けています。スポンサーでもできたらいいなぁと思ったり。

しんどいなーと言いながらも毎年3人で乗り越えてきて、わかち合っているので絆が深まっています。誰かが辞めるなんて、とてもじゃないけど口に出せませんよ、辞めるときは、もうみんなで辞めんとね!

京都府から長年に渡り地域組織で美しい景観作りやあたたかな町づくりに貢献していると賞をもらったり、えらいなーと地域の方やお客さんが讃えてくれるし、お客さんの満足度が高いし、、、大変なことばかりですが、結局また次はこうしたいなぁとか、市内のイルミネーションを参考に見学に行っては次回のことも考えてしまうのです。さらには昨年、桔梗の花が、亀岡市の花に選ばれたので、余計にやめられないですね。

取材・文 村田麻実

明智光秀にゆかりのある谷性寺門前の庭園で「ききょうの里」と「夢ナリエ」を開催しています。

太田桂子さん、小畑三香子さん、太田富美枝さんの歩み(主な経歴)

丹波/亀岡 ききょうの里を作る会は、2025年京都府開庁記念日記念式典「あたたかい京都づくり推進特別賞」、 2021年京都府府民表彰「市町村・地域自治功労者表彰」