物語に出てきそうなカフェで、フワとろ食感のオムライスとヘルシーな国産小麦ベーグルを満喫。

大阪池田を起点に亀岡・南丹を経由して京都府を横断する国道477号。通称ヨナナ。本梅川に並走するロードサイドに可愛らしい猫のイラストが描かれた看板がひっそりと立っています。

看板の指し示す方向に進んで行くと、広葉樹の森を背にした一軒家が現れました。
門扉や外壁は青いペンキで塗られ、真っ白いドアと赤いポストのコントラストが非常に鮮やかで印象的。
まるで童話にでてきそうなお店です！

落ち着いた雰囲気の店内にゆったりとした時間が流れる

お店の周囲は赤いレンガが敷き詰められていて、里山の景色が一望できる位置にベンチが据えられていました。
店内が満席のときは、ここに座ってのんびり景色を眺めながら待つのがいいかもしれません。

ステンドグラスがはめ込まれた重厚なテーブルを開けると、レトロとモダンが調和した落ち着いた空間が広がります。

アンティークの家具や調度品に統一感があり、洗練された雰囲気の漂う店内です。

昔なつかしい、ダルマストーブもありました。

迎えてくださったのはオーナーの山際さんご夫妻。
数年前に亀岡に移住してこられ、お店をオープンされたそうです。
お店ができるまでの経緯について少しお話を伺ってみました。

——お店をオープンされたのはいつですか？

2020年の4月です。当時は新型コロナ渦で「緊急事態宣言」が発令されていた頃でしたが、一日も早くお店を開きたかったこともあり、思い切ってオープンしました。

それまでは飲食店を営む会社でサラリーマンをしていたんです。それなりに満足はしていたのですが、独立して自分の思い描いた料理をお客様に届けたいという思いが強くなり、開業資金を貯めながら機会を窺っていました。

空家バンクに登録して数週間で運命の出会い

——縁もゆかりもなかった亀岡で、どうやって物件を見つけたのですか？

まず最初に空家バンクに登録しました。当時は兵庫県尼崎市に住んでいたのですが、京都の郊外でのんびり暮らしたい、という漠然としたイメージがありまして…。比較的都会に近く、便利な田舎という印象があった亀岡で物件を探すことにしました。

——空家バンクに登録して、スムーズに事が運んだのですね？

すぐには物件が見つからないという話を聞いていたので、あまり期待してませんでした。
ところが、意外にも登録して２週間程で亀岡市の担当の方から電話があったんです。
半信半疑で見に行ったところ、自分のイメージ通りだったので即断即決しました。案内してくださった担当職員の方に「もう少し、じっくり考えてください…」と言われるくらい（笑）。とても運が良かったのだと思います。

『葉酸たまご』を使用したフワとろ食感の絶品のオムライス

——お店の看板メニューであるオムライスについて聞かせてください。

サラリーマンとして働いていた飲食店で長く作っていたこともあって、オムライスには自信がありました。独立したときは必ずメニューに入れようと決めていました。

それと「みずほファーム」さんの『葉酸たまご』との出会いも大きいですね。
『葉酸たまご』は自分が食べてきた卵の中でダントツに美味しいです！
オープン前に、京丹波町の「みずほファーム」さんに伺って直接交渉しまして、自分の店に提供していただけることになりました。
うちのオムライスは卵に助けられているところもあると思っています。

写真はデミグラスソースオムライス。
濃厚でふわっふわトロトロ食感の卵に、赤ワイン香るコクのあるソースがかかっていて絶品。

オムライス以外には、たっぷりとチーズが乗ったドリアも人気。
写真はデミグラスハンバーグドリア。他には焼きチーズカレードリアなども用意されています。

国産小麦を使ったベーグルは甘さ控えめでヘルシーな美味しさ

——もうひとつの看板商品であるベーグルについて教えてください。

はい。ベーグルはもともと妻が趣味で作っていたのですが、店を開業するにあたって、少しでも売上の足しになればということで本格的に始めました。
改良に改良を重ねたベーグルには、沢山のこだわりが詰まっています。
原材料には国産小麦を使っているので、安心安全です。
程よい甘さの生地はもちもちとした弾力があって、お米のような味わいを楽しんでいただけると思います。
地域にベーグル屋さんが無かったこともあり、おかげさまで好評で、多くの方にご利用いただいています。（※ベーグルはテイクアウトのみ）

ベーグルといえば小ぶりなイメージでしたが、ネコタさんののベーグルは一個でもじゅうぶんな位のボリューム！（写真は紅茶キャラメルチョコ（左）とジャーマンポテト）
クランベリーホワイトチョコや黒ごまさつま、塩キャラメルチョコやWチーズなど種類豊富なベーグルがずらりと並びます。

——オープンして数年が経過しましたが、今どのようなお気持ちですか

コロナ渦の真っ只中のオープンでしたが、とにかく必死でがむしゃらに頑張ってきました。ありがたいことにオープン以来、春と秋は大変忙しくさせていただいてます。冬場は雪が降るとパッタリと来客が途絶えるので、少し不安になることもありますね。

ただ、ここで暮らしはじめて、四季の移り変わりを肌で感じられるようになったことは大きな喜びです。春夏秋冬、それぞれに良さがありますが、特に春が好きですね。新緑の頃、「山がこんな鮮やかな色をするのか！」と感動したんです。
それまで「新緑」という言葉は知っていたけど、実際に「新緑」を感じられたのは初めての経験でした。

今後については、一日でも長く継続することだけを考えています。
実は数年前に一度体調を崩して入院することがあったんです。その間、店を休業して迷惑をかけてしまったので、以来かなり健康面に気を遣うようになりました。夫婦二人でやっている店なので、あまり無理をせず、助け合いながら続けていきたいと思っています。