”地球想い”であることを常に意識しながら、場づくりやイベントを企画運営をしています。

アースコンシャス代表 持田 博行 さん

”地球想い”であることを常に意識しながら、場づくりやイベントを企画運営をしています。

「地球想いの優しい暮らし」を活動の軸として、さまざまな催しや場作りを行う「アースコンシャス」代表の持田博行さん。都市型環境フェス「アースデイ in 京都」の主催、農的暮らしを取り入れたコミュニティ、ビレッジ作りの立ち上げやイベント、マルシェの企画、芸術祭のプロジェクトマネージャーなど幅広く活躍される背景には、どのような経験や考えがあるのかをお伺いしました。

東京から京都市へ移住、亀岡との繋がり

ー東京から京都市への移住
東京の池袋で生まれ、川崎で育ち、東京で仕事をしてきましたが、40歳を機に都会を離れ、京都市へ移住してきました。福島原発事故の影響で関東から距離のあるところを候補に、妻の希望で京都で暮らすことを決めました。僕自身、京都に縁もゆかりもなく、友達も知り合いもいない中での移住だったので、それはとても不安でした。

ー亀岡市に初めて訪れたきっかけ
2019年の秋に開催された「かめおか農マルシェ」という催しの企画運営に携わったことがきっかけです。

僕は「アースデイ in 京都」を立ち上げたいと思っており、会場内にオーガニックエリアを作りたく、京都オーガニックアクション代表の鈴木健太郎さんに相談を持ちかけたのですが、逆にイベント経験のあるモッチーに力を貸してほしいと「かめおか農マルシェ」のお誘い返しを受けたんです。農マルシェのメンバーにはイベント運営の経験者がいなかったので、企画の立て方が分からず、手伝ってほしいとのことでした。

初めて亀岡市を訪れたのが、マルシェの会場となるKIRI CAFEでの企画会議でした。その時に、かたもとオーガニックファームの片本満大さんや、べじたぶるぼーとの大江広一郎さん、かめおか霧の芸術祭の辰巳雄基さんや武田幸子さんなど、今に繋がる人たちとの最初の出会いがありました。

かめおか農マルシェでの出会いがきっかけとなり、かめおか霧の芸術祭の運営にも誘っていただき、それからというもの、頼りにしてくださる機会が増えて、亀岡市を訪れる頻度が格段に増えました。

ー鹿谷ワンダービレッジの誕生へ
その後、更なるご縁があって、2021年に亀岡市薭田野町にエコビレッジ「鹿谷ワンダービレッジ」を作ることになりました。

当時は、2.5haという広大な農地を数人のスタッフさんだけで運営されていて、農地が広すぎてほとんど草刈りだけで終わってしまうような状況でした。

もっと多くの方に開かれたオープンなエコビレッジにしていこうと方針転換をし、月に2回「みんなでつくる日」というオープンデイを設けて、畑を耕したり、田んぼでお米を栽培したり、土を捏ねてピザ窯作り、竹林を整備した竹でジャングルジムやブランコを作ることもありました。

ーエコビレッジを作りたいという構想はあったのですか?
伏見区に本社がある玉山工業の玉山さんがこの場所で「風韻土本」というエコビレッジを作られていて、そのエコビレッジの想いや構想を継承しながら鹿谷ワンダービレッジは立ち上がりました。

鹿谷ワンダービレッジは、広大な農地をみんなで耕してみんなでつくる、自然に寄り添う暮らしを実現する、そんな想いで、身の回りにあるもので、暮らしを手作りしていく活動が始まりました。自然の中で土に触れ、四季に合わせて野菜を作り、動物とふれあい、自然遊具で遊び、仲間と集う、「こんな暮らしがしたい!」を叶える、そんな場をみんなで作っていこう、と呼びかけたら、想いに賛同してくれた方たちが自然と集まってきました。

こうした場作りは、幼い頃に過ごした川崎の実家での経験が大きく影響しています。幼稚園に通っている頃は、実家の周りにも田んぼや竹林、裏山といった自然がたくさんあり、カエル、ドジョウ、ザリガニ、そういった生き物を捕まえて過ごすような暮らしでした。しかし、小学生になる頃、辺り一帯の山林は伐採され、田畑なども造成工事が行われ、すべてが住宅地となってしまいました。絶滅危惧種に指定されているホトケドジョウがたくさん生息していていた湧き水の小川もなくなってしまいました。

幼少時代に遊んだ記憶は良き思い出として鮮明に残っており、今の子どもたちにも豊かな自然の中で、遊んだり過ごしたりできる場所を残していきたいという思いが強く、鹿谷ワンダービレッジはその思いを具現化する形になったのかなと思います。

現在は、鹿谷ワンダービレッジの運営から離れていますが、あの場での経験や出会いは今の僕に大きく影響していますし、素晴らしいものとなりました。かめおか里山ネットワークの代表 西田さんやメンバーの中野さんともここで出会い、今に深く繋がっています。

ー亀岡市への移住は実現しそうですか?
関東から京都市へ移住してくる時から、田舎や里山で暮らしたいと思っていたのですが、いまだに実現していません。京都市左京区に住みながら亀岡市に通って活動しています。どこか良い物件があるといいのですが、まだ出会えていません。

鹿谷ワンダービレッジに集う方も、亀岡市へ移住を希望する方が多くいて、自然と移住相談に乗るようになりました。自分の移住がまだ実現していないのに、移住相談に乗っていて、何人もの方に移住先を紹介したり、移住を実現させたりしています。そんな実績もあり「京都移住計画」が企画する、移住プログラムの地域コーディネーターとして起用、また半農半Xの起業プログラムの地域コーディネーターをさせていただいており、ますます移住や創業の相談に乗る機会も増えてきました。

かめおか霧の芸術祭で担う企画や役割

ーかめおか霧の芸術祭(霧芸)との関わり
霧芸には2019年の12月から携わるようになりました。2020年1月にガレリアかめおかで行う霧芸の大きなイベントから本格的に関わり、今年で6年目です。霧芸は先人の知恵や職人の技、風景の美しさなど、形のないものや目に見えないものまでも芸術として捉え、暮らしを豊かさにしていく知恵や技を身につけていくような年間を通したプロジェクトで、他の芸術祭とはアプローチが異なり、とても面白いです。

ー霧芸では具体的にどんな役割を担っていますか?
プロジェクトマネージャーという役職を担っていますが、年間を通して行われる様々な企画やプロジェクトが滞りなく実施できるように、全体を調整するような役割が強いです。プロジェクトマネジメントと併行してマルシェの企画も担当しており、「循環」をテーマに実施している「ボンボンマルシェ」やKIRI CAFEで行う「KIRI CAFEまつり」なども担当しています。

ー企画をするうえで大切にしていることは?
通常、マルシェというと、モノの売り買いを目的にするのが一般的ですが、ボンボンマルシェでは、物々交換を通して誰かの不用品を次の必要な人へ繋げたり、壊れたモノを修理して長く使えるようにしたり、捨てられてしまう端材や廃材をアップサイクル、地域の旬の食材を地域で味わい、地域で新たな循環を生み出す、地域の魅力と様々な出会いを生み出すようなことを意識して行っています。

京都市内で都市型環境フェス「アースデイ in 京都」を開催する意味

ー都会で地球や自然を想うイベントが必要だと感じていた
東京に住んでいた頃は、雑誌の制作と野外音楽フェスの主催や企画運営をする事業を仲間としていました。自然が大好きだったこともあって、野外音楽フェスではキャンプ場やスキー場を貸切にして、2泊3日でキャンプをしながら音楽を聴いて過ごすキャンプインスタイルのフェスを行っていました。

会場へ足を運ぶお客さんに、数日間、自然の中で過ごしてもらうことによって、「自然って最高だね」「自然を大切したいね」と思って帰ってもらうことを目的の1つにして行っていたのですが、都会の暮らしに戻ると、忙しさに流されて、結局もとの生活に戻ってしまう。そんなジレンマを10年ぐらい感じていました。

都会での暮らしを変えるには、都会の暮らしに直接アプローチしないとだめだと思い、都市型の環境フェス「アースデイ」を京都で立ち上げることにしたんです。都会の中で環境フェスや環境活動をすることで、日々の環境への意識が高まって、少しでも暮らしが変わっていくのではないかと、そんな思いで実施しています。

関わる企画で欠かせないことと、気をつけていること。

ー楽しさ優先、参加しやすさを考える
「環境」というと真面目で難しそうなイメージが強いので、楽しそう、美味しそう、参加してみたい、と思ってもらえるように、参加するハードルを限りなく下げる努力をしています。例えば、絵本交換会や野外映画上映会、はたまた自転車発電や子ども向けの体験ワークショップなど、親子で楽しめる企画や子供が楽しく参加できる企画を意識して多く取り入れています。まずは楽しく過ごしてもらいながら、環境や循環、持続可能な暮らしについて感じてもらえたらと思っています。

ー主催、企画、運営など、活動をする上で根源にあるもの
主催側と出店してくださる方、参加していただく方、お客さん、作家さん、職人さん、農家さん、登壇者さん、すべての方と手を取り合えるような対等な立場でいたいと思っています。

僕は作家でも農家でもアーティストでもないし、モノを作りだすことは出来ません。僕にできることは、場を提供する、機会を作る、人と人、モノとモノを繋ぐことだと思っています。それぞれに得意なことや担っている役割があると思うので、僕にできる役割を全うできればいいなと思っています。想いを共にする方々と一緒に活動し、みんなで暮らしや未来をちょっとでも変えていけたらいいなと思います。

かめおか里山ネットワークでの活動に参加してみて、今後のたのしみ

ーかめおか里山ネットワークに関わるきっかけは?

代表の西田さんが、かめおか里山ネットワークを立ち上げる際に「もっちゃん、一緒に活動してくれへんか?」と声を掛けてくれたんです。その頃は、あちこちの団体や組合に参加していて、ボランティア貧乏のような状況でした。僕は亀岡在住でもないので、どれだけ活動に参加できるか分からないことを伝えると、西田さんは相談役でもいいからと頼ってくれました。

メンバーは中野さんも藤田さんも知り合いで、仲がよかったので「僕にできることを、できる範囲でぜひ参加させてください」とメンバーに加わりました。デザインすることが好きなので、田舎暮らし体験住宅「桑山邸」のチラシをデザインしたり、自分にできることをできる範囲で楽しく参加させてもらっています。

いよいよ、田舎暮らし体験住宅「桑山邸」という拠点が完成したので、これから更にいろんな方が集ったり、活動が広がりそうで楽しみですし、亀岡の里山の暮らしの豊かさや楽しさを一緒に発信していけたらいいなと思っています。

ーこれから挑戦したいこと

かめおか霧の芸術祭の企画や、来年亀岡市・南丹市・京丹波町を拠点に開催される「全国都市緑化フェア」に向けた企画などにも携わっていて、この亀岡の豊かな自然や文化を楽しく学び、身につけていくような企画を今後も継続して行っていきたいと思っています。

今後は、鹿谷ワンダービレッジで行っていたような、みんなで田んぼや畑をしたり、身の回りにあるもので暮らしを作ったりといった、自然に寄り添う暮らしをみんなで楽しく学ぶようなコミュニティをまた作っていきたいです。

”地球想い”であることを常に意識しながら、場づくりやイベントを企画運営をしています。

持田 博行さんの歩み(主な経歴)

東京生まれ神奈川育ち。東京で出版社勤務を経て2002年に独立。雑誌の制作+音楽事業という2つを柱にした法人を仲間とともに設立。雑誌の編集や制作を行う傍ら、野外音楽フェスの開催や音楽レーベルの運営などを約10年間行う。 2014年に京都市へ移住し「自然に寄り添う暮らし」をテーマに地方創生、地域活性、環境・循環、サスティナブルな活動を軸に、環境フェス、循環イベント、オーガニックマルシェ、ワークショップなどを企画・運営する「アースコンシャス」を設立。 現在は、都市型環境フェス「アースデイ in 京都」を主宰するほか、亀岡市が行う「かめおか霧の芸術祭」のプロジェクトマネージャー、京都国際音楽祭「KYOTOPHONIE」のプロダクションマネージャーを務めるなど、京都市と亀岡市の二拠点でさまざまな場づくりやイベントを行っている。